歯科訪問診療料の算定要件と返戻を防ぐカルテ記載【2026年度改定対応】

2026年度改定対応一次情報で最終確認:2026年7月21日
執筆・監修金谷 拓株式会社レセアド CTO

人数が増えると、建物あたりの合計は下がる

歯科訪問診療料は、同一の建物で同じ日に自院が算定する人数によって、1人あたりの点数が 1,100点/410点/310点/160点/95点 と下がっていきます[1]。ここまでは早見表どおりです。

見落とされやすいのは、人数の境目で「建物あたりの合計」が前の人数帯より下がるという点です。

同一建物の人数と、建物あたりの合計点数

診療時間20分以上・加算なしの場合

同一建物で自院が算定する人数(区分)1人あたり建物あたりの合計
1人(歯科訪問診療1)1,100点1,100点
2人(歯科訪問診療2)410点820点
3人(歯科訪問診療2)410点1,230点
9人(歯科訪問診療3)310点2,790点
10人(歯科訪問診療4)160点1,600点
19人(歯科訪問診療4)160点3,040点
20人(歯科訪問診療5)95点1,900点
1人あたりの点数は令和8年厚生労働省告示第69号(区分C000)による。「建物あたりの合計」は編集部が人数を乗じた単純計算であり、告示・通知に記載された数値ではありません。

同じ計算を境目でたどると、次のようになります(いずれも編集部の単純計算です)。

  • 1人 → 2人:1,100点 → 820点。280点下がります。 3人(1,230点)でようやく1人のときを上回ります。
  • 9人 → 10人:2,790点 → 1,600点。1,190点下がります。 9人のときの合計に届くのは18人(2,880点)からです。
  • 19人 → 20人:3,040点 → 1,900点。1,140点下がります。 19人のときと並ぶのは32人(3,040点)です。

「20分」の壁は、歯科訪問診療1には存在しない

診療時間20分未満の減算を定めているのは注6です。その対象は「2から5までを算定する患者(注16又は注20に該当する場合を除く。)」と書かれています[1]。つまり歯科訪問診療1(同一建物1人のみ)には、時間による区分がありません。留意事項通知の一覧表でも、歯科訪問診療1は20分以上・20分未満をまたいで1,100点です[2]

20分に数えてよい時間・数えない時間

留意事項通知は、注6・注8の「診療時間」に含めないものを明示しています[2]

  • 診療前の準備、診療後の片付けに要した時間
  • 患者の移動に要した時間
  • 併せて実施した訪問歯科衛生指導料(C001)・歯科衛生実地指導料(B001-2)の算定対象となる指導の時間
  • 交通機関の都合その他、診療の必要以外の事由で患家に滞在・宿泊した時間

一方で、同一日に同じ患者へ複数回の歯科訪問診療を行った場合は、その合計した時間を診療に要した時間とします[2]。歯科衛生士の指導時間で20分に届かせることはできない点は、訪問歯科衛生指導料と併算定する日ほど効いてきます。

20分未満でも、加算はつく

20分未満だからといって加算まで消えるわけではありません。通知は、20分未満の場合について、注9から注11まで、注14及び注22、注19若しくは注21の加算並びに注17の減算は、287点・217点・96点・57点にそれぞれ加算又は減算すると定めています。算定できないのは注15・注18の加算です[2]

20分未満が続くと、施設基準にも跳ね返る

2026年度改定で、在宅療養支援歯科診療所1の実績要件に選択肢が追加されました。そのうちの1つが「直近1か月に歯科訪問診療2から5までのいずれかを算定した回数が5回以上であり、そのうち20分以上の歯科訪問診療を算定した回数の割合が6割以上であること」です[3][4]。この選択肢で届出を維持する場合、20分未満の算定割合がそのまま施設基準の可否につながります。

同じ家で2人診ると、2人目は410点になる

同居する同一世帯の複数の患者など、同一の患家で2人以上3人以下の診療を行った場合、1人は歯科訪問診療1、それ以外の患者は歯科訪問診療2を算定します[2]。「同じ家なのだから2人とも歯訪診1」ではありません。

さらに通知は、歯科訪問診療補助加算(注14)についても同じ扱いを求めています。歯科訪問診療1を算定した患者は「同一建物居住者以外の場合」(115点または90点)、歯科訪問診療2を算定した患者は「同一建物居住者の場合」(50点または30点)で算定します[2]

1,100点が272点になる入口は、2つある

注16と注20は、人数区分(歯訪診1〜5)そのものを置き換えて、初診時272点・再診時59点とする規定です[1]。歯科訪問診療1を算定していたケースでは、1,100点が272点になります。

なお、この272点・59点は、令和8年度の歯科初診料(272点)・歯科再診料(59点)と同じ額です[1]

入口①:特別の関係(注20)

自院と特別の関係にある他の保険医療機関等において療養を行っている患者に対して歯科訪問診療を実施した場合は、注20により初診時272点・再診時59点で算定します[1]。通知も、特別の関係にある保険医療機関等を訪問して歯科訪問診療を実施した場合は注20による、と明記しています[2]。系列の施設へ訪問して通常の人数区分で請求していれば、過大請求になります。

入口②:訪問診療の患者割合が9割5分以上(注16)

こちらは見落とされやすい規定です。注16は「在宅療養支援歯科診療所1又は在宅療養支援歯科診療所2以外の診療所であって、別に厚生労働大臣が定める基準を満たさないもの」を対象としています[1]

その「基準」は施設基準通知に置かれており、次の内容です[3]

直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を提供した患者のうち、歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分未満の保険医療機関であること。

つまり、在宅療養支援歯科診療所1・2の届出がない診療所で、訪問診療の患者割合が9割5分以上になると、この基準を満たさなくなり、歯訪診1〜5ではなく初診時272点・再診時59点で算定することになります。

注16と注20では、上乗せできる加算の範囲が違う

同じ272点・59点でも、算定できる加算は同じではありません[2]

置換の規定算定できる加算
注16(基準を満たさない診療所)注8・注9・注11・注19・注21
注20(特別の関係)注8・注9・注10・注11・注14・注18・注19・注21

注16では、緊急・夜間・深夜加算(注10)、歯科訪問診療補助加算(注14)、歯科訪問診療移行加算(注18)が並んでいません。注16と注20はいずれも20分未満の減算(注6)の対象外です[1]

歯科訪問診療4・5は、要件を満たさないと半分になる(注7・2026年新設)

2026年度改定で注7が新設されました。歯科訪問診療4・5については、在宅療養支援歯科診療所1・2または在宅療養支援歯科病院の届出をしている医療機関か、注7の施設基準を満たす医療機関でなければ、所定点数および注6に定める所定点数の100分の50で算定します[1]。改定の概要は、その趣旨を「同一建物に居住する多数の患者に対する歯科訪問診療を適切に提供する観点から」と説明しています[4]

注7の施設基準は次のとおりです[3]

  • (1) 次のいずれかに該当すること
    • ア 過去1年間に歯科訪問診療料1又は歯科訪問診療料2の算定実績が12回以上あること
    • イ 過去1年間に患家で療養している患者又は入院患者に対する歯科訪問診療の実績が6回以上あること
    • ウ 次のいずれかに該当すること(福祉型・医療型障害児入所施設、介護老人福祉施設又は介護老人保健施設における定期的な歯科健診への協力/都道府県等が実施する事業への協力/学校歯科医等の業務)
  • (2) 自院の歯科訪問診療の実施状況等が把握できる体制と、他の保険医療機関・介護保険施設等・障害児入所施設等の歯科訪問診療の担当者に治療内容・治療計画を必要に応じて共有できる体制を確保していること

16kmは「走った距離」ではなく「半径の圏域」

保険医療機関の所在地と患家の所在地との距離が16キロメートルを超える歯科訪問診療は、当該保険医療機関からの歯科訪問診療を必要とする絶対的な理由がある場合に認められ、この場合は16キロメートル以内と同様に取り扱います[2]

通知は「16キロメートルを超えた場合」の意味も定義しています。当該保険医療機関を中心とする半径16キロメートルの圏域の外側に患家が所在する場合です[2]。実際の走行距離ではありません。

実施時刻を書く義務は、自分で記録を残しているということ

歯科訪問診療を行った場合、診療録に次の事項を記載します[2]

  • イ 実施時刻(開始時刻と終了時刻)
  • ロ 訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)— 歯科訪問診療を開始した日に限り記載し、変更が生じた場合はその都度記載
  • ハ 歯科訪問診療の際の患者の状態等(急変時の対応の要点を含む)

この3項目は、そのまま「同一建物で同じ日に何人を、何時から何時まで診たか」の記録になります。20分の判定も、注8(1時間超の加算)も、この開始・終了時刻を根拠にします。注8の加算は患者それぞれについて算定するもので、複数の患者に対し訪問して歯科診療を行った場合の診療時間の合算はできません[2]

診療録の記載例

以下は通知の記載事項に沿って編集部が作成した例です。実際の記載は患者の状態と自院の運用に合わせてください。

2026/07/21(初回・歯科訪問診療2/同一患家2名)
訪問先名:○○マンション 305号室
実施時刻:14:05〜14:32(27分)
患者の状態等:意識清明。ベッド上半座位で開口保持可。上顎全部床義歯の
       右側頬側縁による疼痛の訴えあり。義歯性潰瘍を確認。
       バイタル安定、体調変化なし。
歯科訪問診療の補助:歯科衛生士 △△(注14 算定)

初回には、当該患者の病状に基づいた訪問診療の計画を定め、その要点を診療録に記載します[2]

訪問診療計画(要点)
 #1 上顎全部床義歯の不適合による義歯性潰瘍
   → 義歯調整。2週間で3回を予定
 #2 下顎左側臼歯部の歯石沈着・自己清掃困難
   → 歯科衛生士による実地指導を月2回予定
 目標:疼痛の消失と義歯による摂食の再開
 次回予定:2026/08/04 同居家族および施設ケアマネジャーに説明済

加算を算定するなら、あわせて診療録に書くこと

算定するもの診療録に記載する事項
歯科訪問診療料(毎回)実施時刻(開始時刻と終了時刻)、患者の状態等
歯科訪問診療料(開始日・変更時)訪問先名
初回(急遽の場合は2回目まで)訪問診療計画の要点/変更時は変更の要点
予定外の緊急で同一建物2人になった場合緊急に歯科訪問診療を実施する必要があった理由
歯科診療特別対応加算1・2(注9)加算を算定した日の患者の状態(感染症の「ト」に該当する場合は病名)
歯科診療特別対応加算2(注9)患者の状態および用いた専門的技法の名称
歯科診療特別対応加算3(注9)病名
地域医療連携体制加算(注11)患者等へ提供した様式21の3等の文書の写しを添付/連携保険医療機関へ提供した様式21の2等の文書の写しを添付
歯科訪問診療補助加算(注14)診療の補助を行った歯科衛生士の氏名
通信画像情報活用加算(注19)観察の内容、観察を行った日等の要点
医科連携訪問加算(注22)依頼された文書の写しを添付

いずれも留意事項通知(区分C000)に定められている事項です[2]。実施時刻や計画の記載漏れは、返戻・個別指導で指摘されやすい項目です。返戻そのものの構造は訪問歯科の返戻はなぜ起きるのかで扱っています。

判断が割れるケース

同じ施設で、朝に3人・夕方に7人(計10人)を診た

全員 歯科訪問診療4(160点)

告示は「同一日に10人以上19人以下の患者に行った場合」と定めており、訪問した時間帯では分かれません[1]。朝の3人を歯訪診2で算定することはできません。

人数は「同一日」で数える

歯訪診4で、容体急変によりやむを得ず15分で中止した

96点(20分未満の点数)

注6のただし書は「2及び3について」と限定されています[1]。通知(10)も歯科訪問診療2・3のみを対象としており、歯訪診4・5には所定点数で算定する例外がありません[2]

ただし書は歯訪診2・3だけ

20分の計測に、同行した歯科衛生士の指導時間を含めてよいか

含めない

併せて実施したC001訪問歯科衛生指導料またはB001-2歯科衛生実地指導料の算定対象となる指導の時間は、注6・注8の診療時間に含めません[2]。準備・片付け・移動の時間も同様です。

通知(27)

歯訪診2を15分で終えたが、緊急の求めに応じた訪問だった

287点に緊急加算159点を加算

20分未満の場合、注9から注11まで、注14及び注22、注19若しくは注21の加算は、287点等に加算するとされています[2]。歯訪診2の緊急歯科訪問診療加算は159点です[1]

20分未満でも加算はつく

午後8時まで標榜している医院が、午後7時に歯科訪問診療を行った

夜間歯科訪問診療加算は算定できない

夜間・深夜の時間帯が標榜時間に含まれる場合、夜間歯科訪問診療加算および深夜歯科訪問診療加算は算定できません[2]

標榜時間に含まれると不可

訪問診療の患者割合が9割5分以上になった(在支歯1・2の届出なし)

歯訪診1でも初診時272点・再診時59点

注16の基準は「歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分未満であること」です[3]。訪問に特化するほどこの基準を外れる方向に動きます。

注16

外来に通っていた患者が通院困難になり、4年ぶりに訪問へ切り替えた

歯科訪問診療移行加算は算定できない

注18の加算は、当該保険医療機関の外来を最後に受診した日(初診料又は再診料を算定した日)から起算して3年以内に歯科訪問診療を実施した場合に限られます[2]

最終受診から3年以内

特別の関係の施設へ訪問し、歯科衛生士が同行した

注20(272点・59点)に補助加算を算定できる

注20を算定した場合、注8・注9・注10・注11・注14・注18・注19・注21の加算は算定できます。一方、注16で算定できるのは注8・注9・注11・注19・注21です[2]

注16とは範囲が違う

区分の選び方と点数早見表

区分の選び方(3ステップ)

  1. 1

    同一の建物で同じ日に、自院が歯科訪問診療料を算定する人数は?

    1人歯訪診12〜3人歯訪診24〜9人歯訪診310〜19人歯訪診420人〜歯訪診5
  2. 2

    その患者の診療時間は?

    20分以上=早見表の所定点数/20分未満は歯訪診2〜5で減算(歯訪診1は時間区分なし)。

  3. 3

    特別の関係・施設基準の確認は?

    特別の関係先への訪問は注20(初診272点・再診59点)。 歯訪診4・5で施設基準未届なら50%で算定。

点数早見表 — 歯科訪問診療料(1日につき)

「同一の建物で同じ日に、自院が算定する人数」×「診療時間20分」

同一建物の人数区分20分以上20分未満
1人のみ歯科訪問診療11,100時間区分なし
2〜3人歯科訪問診療2410287
4〜9人歯科訪問診療3310217
10〜19人歯科訪問診療416096
20人以上歯科訪問診療59557
歯科訪問診療1は時間区分なし。20分未満の点数は「注6」。歯訪診4・5で施設基準未届の医療機関は50%(注7)。

点数の出所は令和8年厚生労働省告示第69号(区分C000)です[1]。なお、歯科訪問診療料を算定した日は、同一日に歯科初診料・歯科再診料は算定できません[1]

注1〜注22の全体像

C000には22の注があります。何がどの役割を担っているのかを整理すると、次のようになります[1][2]。表中の「在支歯1・2」は在宅療養支援歯科診療所1・2、「在支病」は在宅療養支援歯科病院を指します。

役割点数要旨
注1〜注5人数区分1,100/410/310/160/95点同一建物で同じ日に自院が算定する人数(1人/2〜3人/4〜9人/10〜19人/20人以上)。算定日は歯科初診料・歯科再診料を算定できない
注6減算(時間)287/217/96/57点歯訪診2〜5で診療時間20分未満。注16・注20に該当する場合は対象外。歯訪診2・3は容体急変でやむを得ず中止した場合を除く
注7減算(施設基準)所定点数および注6の点数の100分の50歯訪診4・5で、在支歯1・2・在支病の届出も注7の基準も満たさない場合
注8加算(時間)100点診療時間が1時間を超えた場合、30分またはその端数を増すごとに
注9加算175/250/500点歯科診療特別対応加算1/2/3
注10加算36〜1,700点緊急/夜間/深夜歯科訪問診療加算(区分ごとに点数が異なる)
注11加算300点地域医療連携体制加算(同一の初診で1回限り・要届出)
注12特例16km超・海路で特殊の事情があった場合
注13費用交通費は患家の負担(実費)
注14加算115/50/90/30点歯科訪問診療補助加算(1日につき)
注15加算100/50/100点在宅療養支援歯科診療所加算1・2/在宅療養支援歯科病院加算(歯訪診1のみ)
注16置換初診時272点・再診時59点在支歯1・2以外の診療所で、別に定める基準を満たさない場合
注17減算10点初診料の注1・注2の施設基準の届出を行っていない場合
注18加算150/100点歯科訪問診療移行加算(歯訪診1のみ)
注19加算30点通信画像情報活用加算(歯訪診1〜3・患者1人につき月1回)
注20置換初診時272点・再診時59点特別の関係にある他の保険医療機関等で療養する患者
注21加算9/8点在宅医療DX情報活用加算1・2(月1回・要届出)
注22加算500点医科連携訪問加算

加算ごとの要件

患家診療時間加算(注8・100点)

診療時間が1時間を超えた場合に、30分またはその端数を増すごとに100点を加算します[1]。患者それぞれについて算定するもので、複数の患者の診療時間を合算することはできません[2]。診療前の準備・片付け・移動の時間、C001/B001-2の指導時間は診療時間に含めません[2]

歯科診療特別対応加算(注9・175/250/500点)

著しく歯科診療が困難な者に対する加算1(175点)、そのうえで歯科治療環境に円滑に適応できるような技法を用いた場合の加算2(250点)、新型インフルエンザ等感染症・指定感染症・新感染症の患者に対する加算3(500点)に分かれます[1]

通知は「著しく歯科診療が困難な者」を、脳性麻痺等で身体の不随意運動や緊張が強く体幹の安定が得られない状態、知的発達障害等により開口保持ができない状態、重症の呼吸器疾患等で頻繁に治療の中断が必要な状態、人工呼吸器の使用や気管切開等を行っている状態、強度行動障害の状態、指定された感染症に罹患し感染経路に応じた対策を講じたうえで歯科診療を行う必要がある状態など、列挙された状態またはこれらに準ずる状態としています[2]。加算2の「専門的技法」は、Tell-Show-Do法などの系統的脱感作法、オペラント法、モデリング法、TEACCH法、遊戯療法、ボイスコントロール法等を指します[2]

緊急・夜間・深夜歯科訪問診療加算(注10)

注10の加算点数(区分ごと)

区分緊急夜間深夜
歯科訪問診療1425点850点1,700点
歯科訪問診療2159点317点636点
歯科訪問診療3120点240点481点
歯科訪問診療460点121点249点
歯科訪問診療536点72点148点
令和8年厚生労働省告示第69号(区分C000 注10)による。
  • 緊急:標榜時間内であって、入院中の患者以外の患者に対して診療に従事しているときに、患者又は現にその看護に当たっている者から緊急に求められて歯科訪問診療を行った場合に算定します。「別に厚生労働大臣が定める時間」は概ね午前9時から午後6時までです[2]。対象となる緊急な場合とは、訴えにより速やかに歯科訪問診療をしなければならないと判断した場合をいい、手術後の急変等が予想される場合が該当します[2]
  • 夜間・深夜:夜間は概ね午後6時から翌日午前6時まで、または午後7時から翌日午前7時までのように12時間を標準として各都道府県で統一的に扱い、深夜は午後10時から午前6時までです。これらの時間帯が標榜時間に含まれる場合は算定できません[2]

地域医療連携体制加算(注11・300点)

施設基準の届出を行った保険医療機関で、歯科訪問診療に基づき、表示する診療時間以外の時間・休日・深夜における緊急時の診療体制を確保する必要を認め、連携保険医療機関に関する情報を文書で患者に提供し、患者等の同意を得て連携保険医療機関に診療状況を示す文書を添えて情報提供した場合に、1回に限り300点を加算します[1]。1人の患者につき同一の初診で1回限りです[2]

  • 患者等へは様式21の3またはこれに準じた様式の文書を提供し、その写しを診療録に添付します[2]
  • 連携保険医療機関へは様式21の2またはこれに準じた様式の文書で情報提供し、その写しを診療録に添付します[2]
  • 対象は、処置・手術等が必要で治療期間中に病状が急変する可能性がある場合等をいい、その可能性がなくなった場合は算定を中止します[2]
  • この連携に係る診療情報提供の費用は所定点数に含まれ、別に算定できません[2]

歯科訪問診療補助加算(注14・115/50/90/30点)

注14 歯科訪問診療補助加算(1日につき)

保険医療機関の区分同一建物居住者以外同一建物居住者
在支歯1・2/小児口腔機能管理料の注5の施設基準を届け出た診療所/在支病115点50点
それ以外の保険医療機関90点30点
令和8年厚生労働省告示第69号(区分C000 注14)による。

歯科訪問診療料を算定した日に、当該診療が必要な患者に対して、自院に属する歯科医師と自院に属する歯科衛生士が同行し、補助が適切に行える体制のうえで、歯科衛生士が歯科訪問診療料の算定対象となる歯科訪問診療の時間を通じて補助を行った場合に算定します[2]。診療録に、補助を行った歯科衛生士の氏名を記載します[2]

在宅療養支援歯科診療所加算(注15・100/50/100点)

歯科訪問診療1を実施した場合に限られる加算です。在宅療養支援歯科診療所1・2または在宅療養支援歯科病院に係る施設基準に適合するものとして届け出た保険医療機関において、それぞれ100点・50点・100点を加算します[1]。従来の在宅歯科医療推進加算(100点)を置き換える形で2026年度に新設されました[4]。届出の区分によって加算が100点・50点に分かれるため、歯科疾患在宅療養管理料と同様、在支歯の区分がそのまま点数差になります。

歯科訪問診療移行加算(注18・150/100点)

自院の外来(歯科診療を行うものに限る)を受診していた患者が在宅等で療養することになり、歯科訪問診療1を実施した場合の加算です。小児口腔機能管理料の注5に規定する施設基準を届け出た診療所は150点、それ以外は100点です[1]自院の外来を最後に受診した日(初診料又は再診料を算定した日)から起算して3年以内に歯科訪問診療を実施した場合に限られます[2]

通信画像情報活用加算(注19・30点)

歯科訪問診療1〜3が対象で、患者1人につき月1回、30点を加算します[1]。要件は「口腔内の画像を送る」ことではありません。

  • 訪問歯科衛生指導料(C001)を算定する日(歯科訪問診療料を算定する日を除く)に、歯科衛生士等がリアルタイムで口腔内の画像を撮影できる装置を用いて患者の口腔内の状態等を撮影し、自院において歯科医師がリアルタイムでその口腔内ビデオ画像により口腔内を観察(ビデオ通話に準ずる方式)し、得られた情報を次回の歯科訪問診療に活用した場合に算定します[2]
  • 直近の歯科訪問診療料を算定した日から当該加算を算定するまでの期間における観察が対象です[2]
  • 歯科医師は、観察の内容・観察を行った日等の要点を診療録に記載します[2]
  • 情報通信機器の運用に要する費用は、療養の給付と直接関係ないサービス等の費用として別途徴収できます[2]

在宅医療DX情報活用加算(注21・9/8点)

施設基準の届出を行った保険医療機関で、電子資格確認等により得られる情報を踏まえて計画的な歯科医学的管理の下に訪問して診療を行った場合に、月1回に限り、加算1は9点、加算2は8点を加算します[1]

  • 初回の歯科訪問診療の場合は、歯科訪問診療に係る計画の作成において、あらかじめ診療情報等を活用していなければ算定できません。ただし、あらかじめ情報を取得しており、初回の際に診療情報等を活用可能な場合は初回から算定できます[2]
  • 初診料の注15または再診料の注12に規定する電子的歯科診療情報連携体制整備加算を算定した月は、算定できません[1][2]

医科連携訪問加算(注22・500点)

施設基準を満たす保険医療機関が、連携する歯科診療以外の診療のみを行う保険医療機関からの依頼に基づき、その医療機関に入院中の、口腔状態に係る課題のために医科における治療上の課題が生じている患者に対して歯科訪問診療を実施した場合に、500点を加算します[1]

  • 依頼された文書の写しを診療録に添付した場合に、初回の歯科訪問診療時に1回限り算定します[2]
  • 患者の同意を得て、入院中の口腔管理および退院後の受診に係る指導内容等を連携先の保険医等に共有します。診療情報提供に係る費用は所定点数に含まれます[2]
  • 医科歯科併設の保険医療機関および特別の関係に当たる保険医療機関では算定できません[2]
  • 周術期等口腔機能管理計画策定料(B000-5)、周術期等口腔機能管理料(Ⅰ)〜(Ⅳ)、回復期等口腔機能管理計画策定料および回復期等口腔機能管理料は別に算定できません。ただし当該加算を算定した後に緊急に手術が実施され、管理計画を策定・管理した場合は所定点数を算定します[2]
  • 施設基準には、連携機関から依頼を受ける方法の取り決めと文書による連絡先の提供、連携体制および連携機関の名称等の院内掲示、原則としてウェブサイトへの掲載が含まれます。届出は不要です[3]

2026年度改定で変わったこと

歯科訪問診療料の点数・人数区分・20分未満減算そのものは、2024年度から据え置きです[4]。改定の概要には、人数区分や20分という区切りを設けている理由についての説明は示されていないため、本記事では推測を書きません。2026年度に変わったのは次の3点です。改定全体の変更点は2026年度改定 訪問歯科の変更点まとめで扱っています。

なお、本記事の確認時点(2026年7月21日)で公表されている令和8年度改定の疑義解釈資料(その1〜その10)には、歯科訪問診療料(C000)そのものを扱った問答は見当たりませんでした。本記事の内容はすべて告示・留意事項通知・施設基準通知の原文と、改定の概要に基づいています。

算定の前提(対象・場所・器具)

歯科訪問診療料は、在宅等で療養しており、疾病・傷病のため通院による歯科治療が困難な患者が対象です。通院が容易な方には安易に算定できません[2]。診療は、患者の在宅等から屋外への移動を伴わない建物の屋内で行い、急性症状の発症時等に即応できるよう切削器具を常時携行した場合に算定します[2]

区分の判定に使う「同一建物居住者」とは、基本的に建築基準法上の建築物に居住する複数の者を指し、特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅・介護医療院・マンション等の集合住宅の入居者などが該当します。短期入所生活介護、小規模多機能型居宅介護(宿泊サービスに限る)、認知症対応型共同生活介護などのサービスを受けている複数の患者も含まれます[2]。「同一建物で同日に何人診たか」は、その日・その建物で自院が歯科訪問診療料を算定する人数で数えます(建物の総居住者数ではありません)。ここを取り違えると区分がずれ、返戻の原因になります。

施設の患者に交付する文書

歯訪診2〜5、注16または注20を算定した場合であって、在宅療養患者以外の患者に歯科訪問診療を実施したときは、実施した日の属する月に、歯科訪問診療を行った日時と訪問診療を行った歯科医師の氏名を記載した文書を患者・家族・介護施設職員等のいずれかに提供し、提供文書の写しを保険医療機関に保管します[2]。同一施設で同じ月に複数回算定し、患者・家族以外の介護施設職員等に提供する場合は、提供先を明確にしたうえで施設を単位として一覧表で作成しても差し支えありません[2]

出典(一次情報)

  1. 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第二 歯科診療報酬点数表 区分C000・A000・A002告示2026年3月5日
  2. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)別添2 歯科診療報酬点数表に関する事項 区分C000通知2026年3月5日
  3. 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)第14の1の3(注7)・第17の1の2(注16)・第14の2(在宅療養支援歯科診療所)通知2026年3月5日
  4. 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省保険局医療課)説明資料2026年3月5日