在宅療養支援歯科診療所1・2の届出で何が変わるか【2026年度改定対応】

2026年度改定対応一次情報で最終確認:2026年7月21日
執筆・監修金谷 拓株式会社レセアド CTO

在宅療養支援歯科診療所とは(3つの届出区分)

在宅療養支援歯科診療所は、在宅等における療養を歯科医療面から支援する保険医療機関として、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出たものをいいます[1]。届出の区分は次の3つです。

  • 在宅療養支援歯科診療所1(略称:歯援診1)
  • 在宅療養支援歯科診療所2(略称:歯援診2)
  • 在宅療養支援歯科病院(略称:歯援病)

略称は、施設基準の届出受理番号に用いられる表記に対応しています[3]。以下では「在支診1」「在支診2」「在支病」と表記します。

届出が実務に効いてくるのは、同じ診療行為でも点数が変わる区分があるためです。次の章で、どの区分がどれだけ変わるかを一覧にします。

届出で点数が変わる区分の一覧

令和8年厚生労働省告示第69号(歯科診療報酬点数表)を「在宅療養支援歯科診療所」で全文検索し、届出の有無・区分で評価が変わる項目を洗い出すと、次のとおりです[1]

届出の有無・区分で変わる主な点数(令和8年6月1日施行)

告示第69号 別表第二 歯科診療報酬点数表

区分・加算在支診1在支診2在支病それ以外
歯科疾患在宅療養管理料(C001-3・月1回)340点230点340点200点
在宅療養支援歯科診療所加算等(C000 注15)+100点+50点+100点
在宅患者訪問口腔リハ指導管理料(C001-5 注5)+145点+80点+145点
小児在宅患者訪問口腔リハ指導管理料(C001-6 注5)+145点+80点+145点
退院時共同指導料1(B014)900点900点900点500点
歯科訪問診療補助加算(C000 注14)115点/50点115点/50点115点/50点90点/30点
通信画像情報活用加算(C000 注19・月1回)+30点+30点+30点
歯科訪問診療4・5(C000 注7)減算なし減算なし減算なし100分の50
歯科訪問診療料そのもの(C000 注16)通常の点数通常の点数通常の点数初診時272点/再診時59点
出所は令和8年厚生労働省告示第69号。歯科訪問診療補助加算は「同一建物居住者以外/同一建物居住者」の順。「それ以外」欄には例外があり、歯科訪問診療補助加算は小児口腔機能管理料の注5の施設基準を届け出た診療所も高い区分、通信画像情報活用加算は地域歯科診療支援病院歯科初診料の届出でも算定でき、注7は別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たせば減算されません。注16は、在支診1・2以外の診療所であって、注16の基準(直近1か月に歯科訪問診療及び外来で歯科診療を提供した患者のうち、歯科訪問診療を提供した患者数の割合が9割5分未満であること)を満たさないもの、または当該基準を満たす旨の届出を行っていないものに適用され、歯科訪問診療1〜5に代えて初診時272点・再診時59点で算定します。在宅療養支援歯科病院は診療所ではないため注16の対象外です。

歯科疾患在宅療養管理料:340点/230点/340点/200点

届出の効果がもっとも見えやすいのが歯科疾患在宅療養管理料(C001-3)です。歯科訪問診療料を算定した患者で継続的な歯科疾患の管理が必要なものについて、管理計画を作成した場合に月1回算定します[1]

歯科疾患在宅療養管理料(月1回)と届出区分による差

告示第69号 C001-3

届出の区分点数「それ以外」との差
在宅療養支援歯科診療所1340点+140点
在宅療養支援歯科診療所2230点+30点
在宅療養支援歯科病院340点+140点
それ以外の保険医療機関200点
出所は告示第69号 C001-3。差は各区分の点数から「それ以外の場合」200点を引いた値です。

留意事項通知は、この管理料を「在宅療養支援歯科診療所1、在宅療養支援歯科診療所2、在宅療養支援歯科病院又は歯科診療を行うその他の保険医療機関において、在宅等において療養を行っている通院困難な患者の歯科疾患の継続的な管理を行うことを評価するもの」と説明しています[2]。つまり届出がなくても算定はできますが、点数は「それ以外」の200点になります。

算定要件そのもの(管理計画の作成・記載事項、併算定できない管理料など)は届出区分によって変わりません。詳しくは歯科疾患在宅療養管理料の解説をご確認ください。

2026年度改定で新設された在宅療養支援歯科診療所加算

2026年度改定では、在宅で療養する患者に対する歯科訪問診療の内容を充実させる観点から、在宅療養支援歯科診療所および在宅療養支援歯科病院における歯科訪問診療1を実施した場合の加算が新設されました[4]。あわせて、従来の在宅歯科医療推進加算(100点)は削除されています[4]

歯科訪問診療1は同一建物で1人のみを診療した場合の区分で、1,100点です[1]。区分の数え方は歯科訪問診療料の解説で整理しています。

注7:基準を満たさないと歯科訪問診療4・5が50%に

もう一つの2026年度改定の新設事項が、歯科訪問診療料の注7です。同一建物に居住する多数の患者に対する歯科訪問診療を適切に提供する観点から、歯科訪問診療4および歯科訪問診療5に施設基準が設けられました[4]。告示の原文は次のとおりです。

7 4及び5については、在宅療養支援歯科診療所1、在宅療養支援歯科診療所2又は在宅療養支援歯科病院に係る施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関以外の保険医療機関及び別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関以外の保険医療機関においては、所定点数及び注6に定める所定点数の100分の50に相当する点数により算定する。[1]

減算の対象になるのは、在支診1・2・在支病のいずれの届出もなく、かつ注7に規定する施設基準も満たさない保険医療機関です。どちらか一方に当てはまれば減算されません。

注7に該当する場合の歯科訪問診療4・5

告示第69号 C000 注6・注7

歯科訪問診療料所定点数注7に該当する場合
歯科訪問診療4(20分以上)160点80点
歯科訪問診療4(20分未満・注6)96点48点
歯科訪問診療5(20分以上)95点95点の100分の50
歯科訪問診療5(20分未満・注6)57点57点の100分の50
出所は告示第69号 C000。100分の50は所定点数と注6(20分未満)の点数の両方にかかります。端数処理の方法は告示および留意事項通知に規定がないため、割り切れない区分の計算値は示していません。

届出の実態:届出数2,154・6,888と、1か月の訪問患者数

中医協「主な施設基準の届出状況等」(令和7年7月23日)によれば、届出医療機関数の推移は次のとおりです[5]

在宅療養支援歯科診療所等の届出医療機関数

中医協 総-1-1「主な施設基準の届出状況等」

施設基準令和4年令和5年令和6年
在宅療養支援歯科診療所11,8001,9422,154
在宅療養支援歯科診療所26,9266,8756,888
在宅療養支援歯科病院22
(参考)歯科医療機関数69,80769,18268,442
出所は中医協 総-1-1(令和7年7月23日)。令和5年までは7月1日現在、令和6年は8月1日現在の届出状況。在宅療養支援歯科病院は令和6年のみ数値が掲載されています。

歯科医療機関68,442に対して、在支診1が2,154、在支診2が6,888、在宅療養支援歯科病院が22です[5]。届出のある医療機関は歯科医療機関全体の一部にとどまり、なかでも在支診1の届出は在支診2の3分の1程度という分布になっています。

届出区分は、実際の訪問規模とも対応しています。中医協「在宅(その4)」(令和7年11月14日)は、1か月当たりの歯科訪問診療実施患者数を次のように示しています[6]

1か月当たりの歯科訪問診療を実施した患者数

中医協 総-3「在宅(その4)」

届出の区分1か月当たりの患者数
在宅療養支援歯科診療所149.6人
在宅療養支援歯科診療所221.1人
それ以外の歯科医療機関3.2人
出所は中医協 総-3(令和7年11月14日)。令和6年9月〜11月の3か月間で行った患者数の月平均。原資料の出典は令和6年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査(令和6年度調査)。

在支診1では1か月当たり49.6人、在支診2では21.1人、それ以外の歯科医療機関では3.2人でした[6]。届出区分は、施設基準として求められる実績要件の水準と、実際の訪問規模の両方を反映した並びになっています。訪問件数と収益の関係は訪問歯科の収益構造で整理しています。

施設基準と届出手続き(本記事で扱う範囲)

在宅療養支援歯科診療所1・2の施設基準は、施設基準通知の「第14」に定められています[3]。2026年度改定では、歯科医師臨床研修施設における歯科訪問診療の研修・教育体制を評価に加えるなど、施設基準が見直されました[4]

届出後に気をつけたいこと

在支診の届出がない診療所が歯在管を算定

200点(月1回)

届出がなくても算定はできますが、点数は「それ以外の場合」になります[1]

C001-3

在支診2を届け出て歯在管を算定

230点(月1回・+30点)

在支診1であれば340点です[1]

届出の効果

在支診1が歯科訪問診療1を実施

1,100点+100点

在宅療養支援歯科診療所加算1として100点を所定点数に加算します[1]

2026新設

届出も注7の基準もない医療機関が歯訪診5を算定

所定点数の100分の50

注6(20分未満)の点数にも100分の50がかかります[1]

注7の減算

在支診1を届け出ている診療所が歯訪診4を算定

160点(減算なし)

届出があれば注7の減算対象になりません[1]

注7の対象外

在支診1・2を届け出ている場合の注16の届出

別途の届出は不要

在支診1又は2の届出を行っている場合は、注16の基準の届出は要しません[2]

留意事項通知

出典(一次情報)

  1. 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第二 歯科診療報酬点数表 区分B014・C000・C001-3・C001-5・C001-6告示2026年3月5日
  2. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)歯科 区分C000・C001-3通知2026年3月5日
  3. 特掲診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(令和8年3月5日 保医発0305第8号)第14・第14の1の2・第14の1の3通知2026年3月5日
  4. 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省保険局医療課)説明資料2026年3月5日
  5. 中央社会保険医療協議会 総会 総-1-1「主な施設基準の届出状況等」審議資料2025年7月23日
  6. 中央社会保険医療協議会 総会 総-3「在宅(その4)」審議資料2025年11月14日