訪問歯科衛生指導料の算定要件と点数【2026年度改定対応】

2026年度改定対応一次情報で最終確認:2026年7月21日
執筆・監修金谷 拓株式会社レセアド CTO

「単一建物」の人数は、歯科訪問診療料の人数区分と一致しません

歯科訪問診療料(C000)の「同一建物居住者」は、同一日に自院が歯科訪問診療を行う患者の人数で数えます[1]。これに対して訪問歯科衛生指導料(C001)の「単一建物診療患者」は、その建築物に居住する者のうち、自院の歯科訪問診療の計画に基づいて指導を行い、同一月に訪問歯科衛生指導料を算定する者の人数で数えます[2]。数える期間(日か月か)も、数える対象(訪問診療か衛生指導か)も違います。

さらに訪問歯科衛生指導料の側には、歯科訪問診療料には無い例外が4つあります[2]

  • 1つの患家に同居する同一世帯の対象患者が2人以上いる場合は、患者ごとに「単一建物診療患者が1人の場合」
  • その建築物で指導を行う患者数が、当該建築物の戸数の10%以下の場合は「1人の場合」
  • 当該建築物の戸数が20戸未満であって、指導を行う患者が2人以下の場合は「1人の場合」
  • ユニット数が3以下の認知症対応型共同生活介護事業所はユニットごと病院は病棟ごとに、訪問歯科衛生指導料を算定する人数を単一建物診療患者の人数とみなすことができる

この2つを同じ感覚で数えると、区分を取り違えます。同じ建物・同じ患者群でも、両者の区分は次のようにずれます。

同じケースで、歯科訪問診療料と訪問歯科衛生指導料の区分を並べる

2026年度(令和8年6月〜)の点数。自院が算定する人数で数えたケース

ケース(同じ建物・同じ患者群)歯科訪問診療料(C000)訪問歯科衛生指導料(C001)
100戸のマンションで5人歯科訪問診療3(310点)単一建物1人(380点)
12戸のアパートで2人歯科訪問診療2(410点)単一建物1人(380点)
同居する夫婦2人1人目 歯訪診1/2人目 歯訪診2どちらも単一建物1人(380点)
施設で同日12人・同月12人歯科訪問診療4(160点)単一建物10人以上(260点)
施設で同日1人・同月12人歯科訪問診療1(1,100点)単一建物10人以上(260点)
点数は告示第69号 区分C000・C001。歯科訪問診療料は同一日、訪問歯科衛生指導料は同一月で数えます。施設の2例は、戸数10%以下・戸数20戸未満で2人以下の例外に当たらない場合の整理です。なお通知は「当該建築物の戸数」としか規定していないため、居室単位の施設への当てはめに迷う場合は審査支払機関等にご確認ください。

上の表の1行目と2行目は、歯科訪問診療料では複数人の区分に入るのに、訪問歯科衛生指導料では「1人の場合」になるケースです[2]。3行目は、歯科訪問診療料では同一患家の例外で1人目と2人目が別区分に分かれるのに[2]、訪問歯科衛生指導料では2人とも「1人の場合」になります[2]。5行目は逆向きで、その日は1人しか訪問していなくても、同一月にその建物で12人に算定していれば「10人以上」です[2]

同じ20分を、診療時間と指導時間の両方に数えることはできません

訪問歯科衛生指導料は、実地指導の指導時間が20分以上であった場合に算定します[1]。ここでいう時間は「実際に指導を行った時間」で、指導のための準備や患者の移動に要した時間は含みません[2]

一方、歯科訪問診療料の側の通知には次の規定があります。歯科訪問診療料の「注6」(診療時間20分未満の場合の点数)および「注8」(診療時間が1時間を超えた場合の加算)に規定する診療時間には、併せて実施した訪問歯科衛生指導料または歯科衛生実地指導料の算定の対象となる指導の時間を含まない[2]

つまり、同じ時計の20分を歯科医師の診療時間としても歯科衛生士の指導時間としても数える、という組み立てはできません。歯科訪問診療2〜5は診療時間が20分未満だとそれぞれ287点・217点・96点・57点に下がるため[1]、1回の訪問に両方を詰め込むと、指導の20分を確保した結果として歯科訪問診療料が下の点数に落ちることがあります。

2026年度改定は、1人が増点・10人以上が減点に分かれました

訪問歯科衛生指導料 — 2024年度→2026年度

単一建物診療患者の人数で算定

単一建物の人数2024年度2026年度
1人362点380点+18点
2人以上9人以下326点330点+4点
10人以上(1及び2以外)295点260点−35点
改定前後の対比は「令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】」、2026年度の点数は告示第69号 区分C001による。いずれも20分以上の実地指導が要件(注1)。

改定の趣旨は「訪問歯科衛生指導料について、指導を実施した人数に応じた評価を見直す」ことと説明されています[3]。結果として、施設をまとめて回る形態(10人以上)は1件あたり35点下がり、個別宅などの単一建物1人は18点上がりました[3]。あわせて、特別の関係にある他の保険医療機関等への訪問を140点とする「注4」が新設されています[3]

1日の算定上限は、歯科衛生士の頭数と勤務時間で決まります

訪問歯科衛生指導料は、原則として歯科衛生士1名につき1日15人までしか算定できません[2]。非常勤の歯科衛生士については、勤務日の所定労働時間数を常勤職員の所定労働時間数で除して得た数に15を乗じて得た人数(小数第一位を切り捨て)が上限になります[2]

たとえば常勤職員の所定労働時間が1日8時間の医療機関で、その日4時間勤務する非常勤の歯科衛生士であれば、4÷8×15=7.5 となり、小数第一位を切り捨てて7人が上限という計算になります[2]

特別の関係は140点になり、しかも人数カウントから消えます

自院と特別の関係にある他の保険医療機関等で療養している患者に訪問歯科衛生指導を実施した場合は、単一建物診療患者の人数にかかわらず、所定点数に代えて140点を算定します(注4)[1]。2026年度改定での新設です[3]。自院が、特別の関係にある保険医療機関等を訪問して指導を実施した場合が対象です[2]

効果は点数だけではありません。単一建物診療患者の人数を数えるとき、この注4で算定する患者は人数から除かれます[2]。同じ建築物にいても、他の患者の区分判定の頭数には入らないということです。

こんなときは何点?

100戸のマンションで、当月5人に指導した

5人とも380点(単一建物1人)

同じ日に5人へ歯科訪問診療を行えば歯科訪問診療3ですが、訪問歯科衛生指導料は指導する患者数が戸数の10%以下のため「1人の場合」です[2]

戸数10%以下の例外

同居する夫婦2人に、同じ日に指導した

2人とも380点(単一建物1人)

歯科訪問診療料は1人目が歯科訪問診療1、2人目が歯科訪問診療2に分かれますが[2]、訪問歯科衛生指導料は1つの患家に同一世帯の対象患者が2人以上いる場合、患者ごとに「1人の場合」です[2]

同一世帯の例外

施設で毎日1人ずつ、当月にその建物で12人へ指導した

260点(単一建物10人以上)

その日に何人訪問したかではなく、同一月にその建築物で訪問歯科衛生指導料を算定する人数で判定します[2]

人数は月で数える

同じ建物で、特別の関係の患者3人と通常の患者8人に指導した

通常の8人は330点/特別の関係の3人は140点

特別の関係の患者は所定点数に代えて140点で[1]、単一建物診療患者の人数からも除かれます[2]。11人と数えて260点にしないよう注意してください。

注4は人数に数えない

単一建物5人の施設で、2名の歯科衛生士が同時に指導した

複数名訪問歯科衛生指導加算は算定できない

複数名訪問歯科衛生指導加算(150点)は「1 単一建物診療患者が1人の場合」についての加算で、さらに歯科訪問診療料を算定する日は対象から除かれています[1]

注3は「1」限定

訪問歯科衛生指導料を算定した日に口腔機能実地指導料を算定したい

当該指導を実施していれば算定できる

口腔機能実地指導料(B001-2-2)に係る指導を実施した場合は算定可能とされています[4]。同じ月に歯科衛生実地指導料(B001-2)を算定していると訪問歯科衛生指導料が算定できないのとは、扱いが異なります[1]

疑義解釈その2 問6

算定要件の整理

複数名訪問歯科衛生指導加算(150点)は、脳性麻痺等で体幹の安定が得られない状態、開口保持ができない状態、人工呼吸器の使用や気管切開等で管理が必要な状態など、通知に列挙された状態またはこれらに準ずる状態の患者が対象です[2]。複数名による指導の必要性は、前回訪問時の状況等から判断します[2]

併算定できないもの・できるもの

文書提供とカルテ記載

訪問歯科衛生指導料を算定した場合は、①当該指導で実施した指導内容 ②指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)③その他療養上必要な事項に関する情報 ④実地指導を行った歯科衛生士等の氏名(複数名訪問歯科衛生指導加算を算定する場合は同行したすべての歯科衛生士等の氏名)を記載した文書を患者等に提供し、その文書の写しを診療録に添付します[2]。あわせて、患者またはその看護に当たっている者に対して、指導内容と療養上必要な管理内容を説明します[2]

歯科医師は、訪問歯科衛生指導を行った場合に診療録へ次の事項を記載します[2]

  • 歯科衛生士等に指示した内容
  • 指導の実施時刻(開始時刻と終了時刻)
  • 訪問先名(記載例:自宅、○○マンション、介護老人保健施設××苑)。訪問歯科衛生指導を開始した日に限り記載し、変更が生じた場合はその都度記載
  • 訪問した日の患者の状態の要点等(複数名訪問歯科衛生指導加算を算定する場合は、複数名での指導を必要とする理由も含む)

当該訪問歯科衛生指導が歯科訪問診療と併せて行われた場合は、訪問先名と患者の状態の要点は省略して差し支えありません[2]。また、指導を行った歯科衛生士等は、主治の歯科医師に報告するとともに患者に提供した文書の写しを提出し、業務に関する記録を作成します[2]

関連する解説として、人数の数え方が対になる歯科訪問診療料の算定要件と返戻を防ぐカルテ記載、同じ患者に併せて算定することの多い歯科疾患在宅療養管理料(歯在管)の算定要件と点数、改定全体の変更点をまとめた2026年度改定 訪問歯科の変更点まとめ、提出前の点検の考え方をまとめた訪問歯科のレセプト返戻が起きる5つの構造もあわせてご確認ください。

出典(一次情報)

  1. 診療報酬の算定方法の一部を改正する件(令和8年厚生労働省告示第69号)別表第二 歯科診療報酬点数表 区分C000・C001ほか告示2026年3月5日
  2. 診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(令和8年3月5日 保医発0305第6号)歯科 区分C000・C001通知2026年3月5日
  3. 令和8年度診療報酬改定の概要【歯科】(厚生労働省保険局医療課)説明資料2026年3月5日
  4. 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年4月1日 厚生労働省保険局医療課事務連絡)別添4 歯科診療報酬点数表関係疑義解釈2026年4月1日